第6回 アメリカの赤ちゃん用ミルクについて

 薬剤師のSAKINAです。娘が生後3カ月になるまで母乳とミルクの混合で育てました。そこで今回はアメリカの赤ちゃん用のミルクについて調べてみました。 ※挿入してある写真は一例です。

 まずアメリカでは赤ちゃん用のミルクをformula milk, baby formula, formulaといいます。アメリカのスーパーやドラッグストアではいろいろなタイプのミルクが売られています。

 

<主な赤ちゃん用ミルクの種類>

Cow's milk formula 牛乳ベースのミルク。
多くのミルクがこれに該当。
Soy-based formula 大豆ベースのミルク。牛乳にアレルギーがある場合など。
また、子供に動物ベースのミルクを飲ませたくない
(ビーガンなど)の場合の選択肢。
Lactose-free formula ラクトース(乳糖)フリーのミルク。
乳糖不耐症の赤ちゃん用。
Hypoallergenic formula
(Hydrolyzed formula, Predigested formula)
タンパク質が加水分解されていて、より消化しやすいミルク。
タンパク質にアレルギーがある赤ちゃんなどに。

 

 

<特別なミルク>

Anti-reflux (A.R.) formula 飲んだものが逆流してしまう胃食道逆流症の赤ちゃん用。
ミルクの粘度が高く逆流しにくくなっています。
Formula for premature babies 未熟児用。高カロリー、高たんぱく、
ビタミン・ミネラルが普通のものより多く入っています。
Toddler formula 幼児用(9カ月から3歳までのものなど)。

 

<製品によって強化されている栄養素など>

Iron 鉄を強化しているミルク
DHA、ARA DHAやアラキドン酸を含むミルク
Prebiotics and Probiotics プレバイオティクス、プロバイオティクスを含むミルク

 

 実際に商品を見てみたところ、多くの製品が上記項目に該当していました。

<ミルクの形状>

Powdered formula 粉ミルク。一番安価。
調整前の粉ミルクの使用期限は開封後30日。

 

Concentrated liquid formula 濃縮液体ミルク。使用時に水と1:1で混ぜる。
賞味期限は開封後冷所保存で48時間。液体ミルクよりは安価。
Ready-to-feed formula そのまますぐに使える液体ミルク。一番高価。
開封前は室温保存。賞味期限は開封後冷所保存で48時間。
よく売られているサイズは、
2-fluid-ounce(59mL),6fl oz(177mL),8fl oz(237mL)のボトル
(単体ではなくそれぞれ同じものの数本セット売り)と
32fl oz(946mL)のボトル/缶。

 

・・・日本とアメリカのミルクのちょっとした違い・・・

日本の粉ミルクは熱湯で溶かしますが、アメリカの粉ミルクを溶かす温度は水もしくはぬるま湯で、必要に応じて湯煎など(電子レンジは不可)で温める流れになっています。あるメーカーの説明では、沸騰したお湯では栄養価の低下を引き起こしうるとありました。

アメリカには日本で売られているようなキューブタイプのミルクはありません。粉ミルクが個包装されたものは売っています。缶は開封したら賞味期限が30日なので、個包装のものはたまに使う場合に便利です。

日本では国産のオーガニックミルクはなく輸入品になりますが、アメリカでは何種類もありスーパーでも売られています。

ミルクは大手のブランド(Similac、Enfamilなど)だけでなく、大手スーパー(Walmart, Krogerなど)もそれらのジェネリックをプライベートブランドとして低価格で販売しています(前者をName-brand formula、後者をstore-brand formula, generic formulaと呼びます)。パッケージを似せて作られているものもあります。

・・・経験談・・・

 日本では2019年3月から液体ミルクが解禁となりましたが、アメリカでは液体ミルクは粉ミルク同様に認知されているように思います。というのも、私の娘が入院中に病院でもらったミルクが液体ミルクでした。プラスチックのボトルに2-fluid-ounce(59mL)入っていて、ふたを開けた後備え付けの乳首をつければそのまま飲ませられるようになっていました。
 液体ミルクを使用した感想としては、粉ミルクを調整する時のように水や粉の量を計り間違えるといった心配がないのでとても安心でした。特に、アメリカの粉ミルクの説明書きに使われている水の重さの単位はfluid ounce(液量オンス)なので、その単位に慣れていない私にとっては計量の必要がないのはかなり利点でした。また、都度ミルクを調整する必要がないので出先であげる際に非常に便利でした。ただやはり値段は粉ミルクよりも高価なので、退院時にもらった液体ミルクがなくなった後は粉ミルクに切り替えました。
 ちなみに、ミルクのサンプル(サンプルといっても売られているものと同じようなサイズ)をもらう方法はいくつかあります。入院している大学病院や小児科クリニックでもらえたり、メーカーから直接もらうことができます。私が利用した大手メーカーはホームページで情報を登録するだけでなかなかの量のサンプルを送ってくれ、さらには毎月クーポン券を送ってくれて非常に良心的でした。

 

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